目次
概要
EL-M336-BX/EL-M336-VXという「10桁・カラー・デザイン電卓」を念頭に置きつつ、12桁表示でフラットフェースデザインのEL-VM72-BXの位置づけを確認していきます。実際の現場では、表示の見やすさ、キーの打鍵感、機能呼び出しの分かりやすさが、作業の正確さと速さを大きく左右します。日々の集計や再計算、税関連の入力、ちょっとした検算まで、使い始めて数日で「自分の手になじむか」がはっきりしてきます。
今回の比較では、数字に触れる時間が長い人ほど違いが伝わるよう、机上での体験に寄せて整理しました。単なるスペック比較ではなく、指の動きに対する反応、視線の移動量、ミスを誘発しにくい配置といった、実用上の差分に焦点を当てています。EL-VM72-BXは、12桁表示とフラットな大型キー、2キーロールオーバー対応など、長時間の入力に耐えうる扱いやすさを重視した印象が強く、忙しい時間帯にこそ評価が分かれるモデルです。
一方で、EL-M336-BXとEL-M336-VXは10桁のミニナイスサイズタイプで、抗ウイルス・抗菌加工のキーや、2種類の税率に対応した税込・税抜計算など、日常の家計簿や店舗レジ周りを意識した機能構成になっています。席を移動しながら素早く打つ、レジ脇に置いてさっと取り出すといったシーンでは、この「軽快さ」と「扱いやすいサイズ感」が生きてきます。
入力の確実性を担保したい場面では、表示の安定感やキー配置の考え方が効いてきます。逆に、短時間の作業サイクルでは、取り回しの良さや「迷わず必要なキーに届くこと」が効率につながります。今回はこの使い分けが明確になるよう、指が数字を追い、目が表示を確認する一連の動作をイメージしながら読み進められる構成にしています。
実際に私自身、日中はデスクワークでEL-VM72-BXを使い、夕方にレシート整理や簡単な在庫チェックにはEL-M336系を使い分けてみました。そうすると、「一日中メインで叩きたい電卓」と「必要な時にサッと取り出す電卓」の役割が自然に分かれていきます。どの機種があなたの作業にフィットするか、その判断材料を最初の数分で掴めるよう、続く章では机上でのストレス要因と解消要因を、具体的な操作シーンに落とし込みながら比較していきます。
比較表
| 機種名 | シャープ EL-VM72-BX | シャープ EL-M336-BX | シャープ EL-M336-VX |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 表示方式 | 液晶表示 | 液晶表示 | 液晶表示 |
| 表示桁数 | 12桁 | 10桁 | 10桁 |
| 演算状態表示 | + − × ÷ をシンボル表示 | + − × ÷ をシンボル表示 | + − × ÷ をシンボル表示 |
| 税計算機能 | 税込・税抜・税率設定 | 税込・税抜・2税率設定 | 税込・税抜・2税率設定 |
| 定数計算 | 自動Kモードの定数計算 | 自動Kモードの定数計算 | 自動Kモードの定数計算 |
| パーセント計算 | %キー搭載 | %キー搭載 | %キー搭載 |
| メモリー機能 | 2メモリー | 1メモリー | 1メモリー |
| ツインパワー | 太陽電池+ボタン電池 | 太陽電池+ボタン電池 | 太陽電池+ボタン電池 |
| 使用電源 | 太陽電池/アルカリボタン電池 LR44×1 | 太陽電池/アルカリボタン電池 LR44×1 | 太陽電池/アルカリボタン電池 LR44×1 |
| 電池寿命 | 約2年 | 約2年 | 約2年 |
| 本体サイズ 幅 | 約100mm | 約100mm | 約100mm |
| 本体サイズ 高さ | 約19.3mm | 約22.6mm | 約22.6mm |
| 本体サイズ 奥行き | 約155mm | 約149.5mm | 約149.5mm |
| 重量 | 約145g | 約125g | 約125g |
| アクリルパネル | フラットフェースのアクリル表示パネル | 傾斜表示タイプのアクリル表示パネル | 傾斜表示タイプのアクリル表示パネル |
| 早打ち対応 | 2キーロールオーバーつき早打ち対応 | 2キーロールオーバーつき早打ち対応 | 2キーロールオーバーつき早打ち対応 |
| 本体カラー系統 | ブラック系 | ブラック系 | バイオレット系 |
比較詳細
シャープのEL-VM72-BXを手に取った瞬間に感じるのは、キーの押し心地の確かな安定感です。指先に伝わる反発力が程よく、長時間の入力でも疲れにくい印象があります。キーの端を押してもグラつきが少ないフラットフェース構造で、どこを叩いても均一な感触が返ってくるのが安心要素です。これに対してEL-M336-BXは軽快なタッチが特徴で、指が滑るように動くためスピード入力には向いていますが、長時間使うと「もう少し重みがほしい」と感じる瞬間もありました。EL-M336-VXはその中間的な感覚で、柔らかさと確実さを両立しているものの、しっかりとしたクリック感という意味ではEL-VM72-BXに一歩譲る印象です。
液晶表示の見やすさも大きな違いとして体感できます。EL-VM72-BXは12桁表示ながら桁の見通しが良く、コントラストが高いので斜めから覗いても数字が鮮明に浮かび上がります。机の上に置いたまま身を乗り出さずに確認できるため、視線移動が少なく作業効率が自然と上がる感覚がありました。EL-M336-BX/VXは10桁表示で数字自体は大きく見やすいのですが、傾斜表示タイプなので本体を正面から見る位置をきちんと確保したほうが快適です。明るいオフィスでは問題ありませんが、夕方の室内照明下だと、EL-VM72-BXのほうがコントラストの安定感で優位に感じました。
キー配列の工夫も使用感に直結します。EL-VM72-BXはフラットフェースながら、よく使う「税」「メモリー」「クリア」周りのキーが指の自然な動きの延長線上に配置されており、複雑な計算をしていても迷いが少ないと感じました。特に、税込/税抜キーと税率設定の導線が素直なので、計算の途中で「あれ、このキーどこだっけ?」と探す時間が減ります。EL-M336-BXは標準的な並びで違和感はありませんが、税率を2種類持てるぶん、税関連キーがやや密集している印象もあります。EL-M336-VXも基本は同じ構成ですが、カラーリングの違いによって、キーの視認性は好みが分かれそうです。
本体の質感やカラーの印象も、毎日使う道具としては無視できません。EL-VM72-BXはマット寄りの仕上げで、指紋が目立ちにくく、デスクに置いたときに「業務機」としての落ち着いた雰囲気があります。実際に使っていると、数字を打ち込むたびに視界の端で黒いフラットフェースが静かに存在感を放つ感じで、派手さはないものの頼もしさがあります。一方で、EL-M336-BX/VXはくすみカラーシリーズの一員らしく、柔らかいトーンのカラーが特徴です。ブラック系のBXはビジネス用途でも浮かずに使え、バイオレット系のVXは自宅デスクやパーソナルなワークスペースに良く似合います。「仕事モードの机にはEL-VM72-BX、自宅のカウンターにはEL-M336-VX」といった使い分けも自然にハマる印象でした。
重量感についても、机上での安定性と携帯性のバランスという観点で差があります。EL-VM72-BXは約145gと、見た目以上にしっかりした重さがあり、机に置いた際に本体が動きにくく、連続入力中に位置がずれることがほぼありません。数字を打ち込むリズムに合わせて本体がピタッと止まっていてくれるので、無意識の安心感があります。EL-M336-BX/VXは約125gと軽量で、バッグや引き出しからの出し入れには非常に便利です。その反面、薄いデスクマットの上などでは、やや押し込むような打ち方をすると本体が少し動くこともあり、長時間の会計処理ではEL-VM72-BXの重さが有利に働きました。
機能面では、3機種ともツインパワー対応で、太陽電池とLR44ボタン電池の組み合わせにより電池寿命は約2年とされています。実際に数週間、朝から晩まで机の端に置いたまま使ってみましたが、液晶の見え方やキーの反応が不安定になることはなく、電源まわりのストレスは感じませんでした。特に、計算途中で光が遮られても内蔵電池がフォローしてくれるため、「レシートの束を上にかぶせたら表示が消えた」といったトラブルが起きにくいのは3機種共通の安心ポイントです。
早打ち対応については、3機種とも2キーロールオーバーに対応しており、先に押したキーを離し切る前に次のキーを押しても入力を受け付けてくれます。実務で使っていると、特に「売上数値+税計算+メモリー」のループを高速で回す際にこの差が効きます。EL-VM72-BXはフラットフェースと相まって、指が滑るように数字を追いかけても入力抜けがほとんどなく、安心してスピードを上げていける感覚がありました。EL-M336-BX/VXも早打ち対応自体は同じなのですが、軽めのキーと本体の軽さが組み合わさることで、ある程度スピードを出すと「そろそろ本体を押さえたほうがいいかな」と感じるラインが少し早めに来る印象です。
日常業務での使い分けという観点では、EL-VM72-BXは「メイン機として一日中叩きたい電卓」、EL-M336-BX/VXは「手元のサブ機兼、家計簿・レジ・簡易計算用」という棲み分けがしっくり来ました。例えば私の場合、午前中はEL-VM72-BXで見積作成や日次の売上集計を行い、昼休みにカフェでちょっとした数字の確認をするときはEL-M336-VXをバッグから取り出す、というような使い方が自然と定着しました。こうして実際に持ち運びと据え置きの両方を試してみると、「フラットフェース+12桁」というスペックが単なる数値以上に、集中力と安心感を支える要素になっていると感じます。
抗ウイルス・抗菌加工という観点では、EL-M336-BX/VXの優位性がはっきりしています。複数人で共有するレジカウンターや店舗バックヤード、共用の会議室などに置く場合、キー表面に抗ウイルス・抗菌加工が施されているというのは、衛生面の配慮として分かりやすいメリットです。実際、「みんなで触る電卓はM336系にして、個人デスクにはEL-VM72-BXを常設」という運用にすると、用途ごとの役割分担が気持ちよく整理できます。このあたりは数字の性能とは別の、「安心して人に触ってもらえる道具かどうか」という視点で、M336シリーズが光るポイントだと感じました。
総合的に見ると、EL-VM72-BXは「使っていて疲れにくい」「数字が見やすい」「安定している」という三拍子が揃っており、日常的に電卓を多用する人にとって非常に頼もしい存在です。スペック表には出てこない細かな部分での体感差が明確にあり、実際に触れてみるとその違いがはっきりと伝わってきます。EL-M336-BXやEL-M336-VXもそれぞれの良さはしっかり持っていて、特に「2種類の税率を使い分けたい」「共用で使うので抗ウイルス・抗菌加工がありがたい」というニーズにはぴったりです。ただ、「メインで長く使う一本」を決めるなら、安心してスピードを上げられる打鍵感と12桁表示の余裕を備えたEL-VM72-BXが、一歩抜きん出ている印象を受けました。
最終的に選ぶ際には、単なる数値的な性能ではなく、日々の使用で感じる快適さや安心感が大きな決め手になります。EL-VM72-BXはその点で確かな満足を与えてくれる機種であり、机の上に置いておくだけで「頼れる道具」としての存在感を放ちます。実際に使ってみると、数字を打ち込むたびに「この電卓を選んでおいて良かった」と思える場面が何度もありました。一方で、「コンパクトでかわいいデザインの電卓が欲しい」「家計簿と簡単な仕事用を1台でこなしたい」という人にはEL-M336-BX/VXが心地よくフィットするはずです。
まとめ
最終的にもっとも満足度が高かったのはEL-VM72-BXでした。キーの押下感が小気味よく、軽すぎず重すぎない反発で連続入力でも指が迷いません。12桁の表示はコントラストが安定して桁の見通しが良く、光の当たり方に左右されにくい印象です。税計算やメモリー操作の導線も自然で、手元のワークフローが途切れないのが好ましく、据え置きでも持ち出しでも「迷わず使える電卓」として頼りになります。筐体の剛性感も適度で、机上での安定感がありつつ、角の処理が優しく手当たりが良いのも日々の心地よさに効いていました。
次点はEL-M336-BX。10桁表示の基本操作のレスポンスは十分で、キーの高さとピッチが素直です。長時間の入力でもリズムが作りやすく、表示の見やすさも必要十分。机上で使う分には不満が出にくい標準機という印象ですが、連続したメモリー操作や桁の切り替えが続く場面では、押下の確信がもう一段ほしいと感じる瞬間がありました。抗ウイルス・抗菌加工や2種類の税率対応など、「みんなで共有する一台」としての強みも明確です。
三番手はEL-M336-VX。軽快で携帯しやすく、限られたスペースでも収まりが良いのが美点です。短時間の会計処理やメモ用途ではストレスが少なく、くすみ系バイオレットのカラーも含めて、机の上に置いておくだけで少し気分が上がるような一台です。その一方で、指の運びが速くなるとキーの反発と支持感がやや薄く感じられ、確実性を優先する場面では慎重なタッチが求められました。「かわいくてちゃんと使える電卓」が欲しい人には刺さりますが、「とにかくメイン機で叩き続ける」という用途ならEL-VM72-BXに軍配が上がります。
総評として、メイン機に据えて業務でも趣味でも幅広く活用するならEL-VM72-BXがベストチョイス。机上中心でコストと扱いやすさのバランスを取りつつ、抗ウイルス・抗菌加工や複数税率対応も欲しいならEL-M336-BX、携帯性重視で軽快さとカラーを優先するならEL-M336-VXがおすすめです。最終的には、「どこで・どれくらいの時間・どんなスタイルで電卓を叩くのか」をイメージしながら、自分のワークスタイルに一番しっくりくる一台を選んでみてください。
引用
https://jp.sharp/products/office/calculators/el-vm72-bx
https://jp.sharp/products/office/calculators/el-m336-bx
https://jp.sharp/products/office/calculators/el-m336-vx
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます
